実りを問うな

育児、本、漫画、絵の日々備忘録

ヘレン・ケラーとサリバン先生

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伝記漫画が上の子の小学校の学童ルームにあるようで

その日読んだ伝記漫画について

食事の時に感想やクイズを出してくることがある。

その日も同じようにクイズを出してきた。

読んだ漫画は「ヘレン・ケラー

 


ヘレン・ケラーの苦手な教科はなんでしょう?」

「数学?」

「せいかい!母ちゃんすごいやん」

 


ヘレン・ケラーのお父さんとお母さんどっちが先に死んでしまったでしょう?」

「おとうさん?」

「せいかい!しっとったと?」

 


「サリバン先生には兄弟がいたでしょうか?」

「おとうと?」

「せいかい!!!なんで??!!」

 


「母ちゃんすごいね~~~~」

 


という具合。

 


私はサリバン先生の本を大学生の時に読んだことがある。

大学で勉強していたことが美術だったので

情操活動としての美術というものに最終的に興味をもち

教員になりたいなとぼんやり思っていたのもある。

(結果的にならなかったんだけど…)

 


母が近所の小学校の学童でパートしていて

高校のころよくそこに遊びにいって「たまにくるお姉ちゃん」として一緒に遊んだりしていたし

こどもに親近感をもっていた。

 


当時はアルバイトもしていたので頻繁にはいけなかったのだけど

月に1、2度はいって、こどもたちのリクエストに答えてお絵かきしたり工作をしたりしていた。

単純に小学生とうまがあった。

 


障がいがある子ももちろんいて、

お姉ちゃんとして一緒に虫取りをしたり、

ひたすら一緒に手を繋いで運動場をぐるぐるまわったり、

ジャンプをしたり泥団子を作ったりして過ごしたりした。

当時から佐々木正美先生とかの本を読んでいたので

対応も多分そこまで外れたことはしていないと思う。

 


母から「手伝ってよ~」と言われたから最初は渋々だったのだけど

(母には別の思惑があったと思う)

16、17歳の思春期なのにあそこで一緒に小学生にもどって遊んでいた時間の尊さを

今ぼんやり思い出したりする。

 

 

 

 


いつもだったら1日で終わる伝記漫画クイズも

ヘレン・ケラーについてのクイズや話題はそれからも度々出て

不思議におもって長男に聞くと

ヘレン・ケラーの漫画読むと、弟くんのこと思い出んよね~

いつかもっとおしゃべりできるといいね~」

といった。

 


4歳の下の子は複雑な会話をまだできない。

でも、長男は「4歳の弟はしゃべれないけど内側に声がある」と思っているのだ。

ヘレンがコミニケーションとれなくてもがいていたのと一緒だと。

知的障がいがある人や、自閉症の人に大して

そういうことをちゃんと思えていない大人もいるというのにすごいなと思ったし

でもそれは弟の存在があってこそだなとも。

 


下の子は、障がいも軽く、将来、多分おしゃべりは今よりできるようになるだろうけれど

それでも、「ちょっと違うな」という違和感とか

どうしたらいいのかというのを長男は考えていて

それで「ヘレン・ケラー」の伝記漫画を度々読んでいたのだった。

 


そしてこうもいってくれた

「サリバン先生とヘレン・ケラーが出会ったのが3月3日で

それをヘレン・ケラーが「私の魂の誕生日」って言ってたんだって

母ちゃんの誕生日はヘレン・ケラーの魂の誕生日と一緒なんよ!!」

 


泣きそうだった。泣かんかったけど。嬉しくて…

え、マジでそんなこと言ってくれんの?

優しい…あ、ありがて~~~ってなった。

ヘレン・ケラーとアニー・サリバンの魂の交流の過程を知ってるだけに

なんかもう自分の分じゃない二人の人生の尊さで泣きそうになった(笑)

 


そうか、そんな素敵な日と一緒だったんだ…

嬉しいな~~…

 


両津勘吉と誕生日一緒で~~す」と

営業職時代に使っていたネタだけど、こち亀も終わってしばらく経つし、もう茶化して言うのやめようと思う。

なんたってヘレンの「魂の誕生日」だからね!!

 


長男に対してこの先思春期になって「ババア」とか言われても全然我慢できるなって思った

(嘘です。許さんと思うw)

 

 

 

この出来事をきっかけに、昔読んだ、サリバン先生が友達のホプキンス夫人

(サリバン先生の出身校であるパーキンス盲学校の寮母で母親代わりでもあった)にあてた手紙をまとめた本を読み直した。

最初に貼ってある写真の本

ヘレン・ケラーはどう教育されたか―サリバン先生の記録』

以前読んだ時は二十歳くらいで、それでも泣かずにはいられなかったのだけど、

今読むと本当にいろんなものが決壊する。

サリバン先生の、ヘレンへの慈しみ、愛情、彼女の成長を喜ぶ気持ち、

すなわち仕事への手ごたえが手に取るようにわかる。

泣き言もかいてあって、本当に微笑ましい。

押さえつけるようなことはしないと書いておきながら

つねられたり、ひっぱたいたり、取っ組み合いでやりあったみたいなことも書いてあり、

まぁそうなるよね…

初日は不安で泣いたりもしている。

本当にふたりの魂の交流が読み取れる。

これ、アニー・サリバンが二十歳やそこらの時ですよ??(ヘレンは7歳くらい)

サリバン先生本当にすごいよ…。

初期のものだから、長いふたりの歩みのほんの時期の記録なんですけど

本当に良い本なのでぜひ…

 


あとこちらうまくまとまっていて良かった記事。

「私の魂の誕生日」ヘレン・ケラーとアニー・サリバン

前編 https://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/3400/212042.html

後編 https://www.nhk.or.jp/hearttv-blog/3400/212376.html

 


ヘレン・ケラーが伝えたかったこと 第1回 私が住む世界

https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/114/

 


ヘレン・ケラーが伝えたかったこと 第2回 私は天使ではない

https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/115/

 

 

 

人間の、人や動物やものへの慈しみはどこからくるのか

出発点はどこなんだろうと10代のころからずっと考えている。

サリバン先生とヘレンの間の愛情、

私がこどもたちにむける愛情と。

源はどこなんだろうか。

 


もちろんむかつきもするし、コミニケーションが取れず加虐的な気持ちになってしまう時がある。

まぁまだそれをどうにかやりすごすことができている。

正直泣きたい日もたくさんある。

でもどうにか、何かやさしいものでできるだけこころを、満たしていたいなぁなどと思うのでした。